2019年12月7日土曜日

Exploring the effects of working for endowments on behaviour in standard economic games

ブログなんてありましたっけ、知りませんなあという態度で2年が経とうとしている。

公共財ゲームでインセンティブの与え方とかを実験しようとしているので関係しそうな論文を読む。またの名を現実逃避。

Harrison, F., & El Mouden, C. (2011). Exploring the effects of working for endowments on behaviour in standard economic games. PLoS ONE, 6(11), 1-6.

協力の進化の経済実験は実験実施者から元手を渡されるけど、実際には資金を得るのにもコストかかるしそれは行動にも影響を与えるでしょう。ということで被験者が資金を得るのにコストがかかる状態(退屈なタスクと物理的なタスク)で、公共財(PGG)と独裁者(DG)ゲームをやるよ。独裁者ゲームでは労働の効果は出なかったけど、公共財ゲームでは退屈なタスクをやった組は協力率が減った。ただしゲーム理論を知らない人に限る(え、その縛りちょっと不自然じゃ・・・)。


協力の進化研究では経済実験は超メジャー、いろいろやられてるよ。実験室実験の結果は実際の行動の傾向と良く相関するという議論もたくさんあるけど、実際の行動を予測しないという研究もある(こっちは1つだけ引用されてる)。実験の結果も一貫してない。

というわけで2つのタイプの労働を課す実験で協力行動が異なるか調べます。

M:コントロール(普通に資金提供)
T1:ピペット作業
T2:スクワット

DG:ワンショットで分配したぶんはUKチャリティに行く。被験者が提供される額を5通りやる。
PGG:5ラウンドの繰返しありPGGをやる。第3ラウンドだけ条件をコントロール。それ以外のラウンドは普通に資金提供される。


結果いきます。DGでは条件間の差は見られない。微妙に提供される額と寄付額に負の相関。小さい額だと投げ銭的になったんじゃなかろうか。PGGでは全体的にラウンド経過とともに投資額は減る。これはみんな知ってる結果と一貫してる。1,2ラウンドで条件間の差なし。

さてメインディッシュ、3ラウンドの結果いきましょう。メインエフェクト効果なし!(切ない)。しかし、「ゲーム理論を知ってるか」とコンディションの交互作用は有意でした、どーん。

我々の結果は、標準的な協力ゲームの利用を損なうものではない。我々はこれらのゲームが人間の行動をより一般的に説明する力がある証拠を見つけてはいない。でも、でも、我々の結果はゲーム理論を知っている人とそうでない人の参加者プールで行動が異なることに注意する必要があることを示唆している。

しっかし、ゲーム理論知ってるかどうかなんてよく質問項目に入れてたな。というかこれくらいしか有意にならなくて泣きそうになる気持ちは良くわかる。"our results do suggest that we should be aware that"という苦しい書き方は涙なしには読めません。

でもこれもPLoS oneだ。心を強く持って頑張って論文を書こう。

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