新年明けたくらいで出てくるほどおれのやる気は軽くない。
この前社会心理学会で見た実験が面白そうだったのでチョイ足しレシピで実験したらなんか面白いんじゃないかと思ってやってみた。簡単に調査できるネット環境はほんとありがたいもんだ。そしてとりあえず実験してから関連論文を探すといういつもの泥縄大作戦。不均一な資源を想定した社会的ジレンマが個人的に最近熱い(Nowak達がNatureに載せたから)という理由もある。恥ずかしげもなくミーハーな動機で周囲をボチボチと検索。学生が見っけたやつを読む。もしかして既に結論出ちゃってますか。
Hackel, L. M., & Zaki, J. (2018). Propagation of Economic Inequality Through Reciprocity and Reputation. Psychological Science, 29(4), 604–613.
アブスト:資源が不均一に分布しているときの互恵性の負の効果(経済的不平等の悪化)を見てみましょう。実験結果によるとですね、裕福な人と貧しい人を作って互恵的ゲームをやると同程度に互恵的なふるまいをしてても裕福な人はより多くの返報を受けるし、評判も高くなるので市場でより優位な立場に立てたよ。
本文:互恵的協力大事云々。で、多くの研究ではみんな同一の資源を持って実験に参加するけど実際の社会は超不平等じゃん。
互恵性と不平等の合成でどんなことが起こるだろう。一つにはシンプルに期待報酬量で決まるというものだ。同じ50%の返報でも、100のうちの半分と20の半分じゃ前者のほうがいいに決まってる。実際そういう結果も結構ある(あとで引用チェック)。他方、寛容性と報酬量の両方が影響するよっていう研究もある(著者たち)。
でこれをもっと明確な互恵ゲームに適用して詳細な分析をしようではないか。
実験1:Giver群はリッチ組とプア組に分かれる。そんで元手の20%か50%のいずれかを分配するかという意思決定を36セットおこなう。後にマッチングされるRecipientが結果を見ることは知らされているがRecipientが返報機会を持つことは知らされない。よって直接互恵は喚起されてない。続いてRecipient群はランダムにマッチされたリッチ組・プア組Giverのどちらかを選ぶという操作を60回やる。そして毎回好きなポイントをGiverに返報できる。
実験2:Giverは同じ仕組み。Recipientのやることもほぼ一緒。違いは互恵返報フェーズの代わりに、今度はGiverの評価を5段階でおこないさらに一つ先のRecipient(Investorとする)に対して情報提供する。そしてInvestorには複数Giver候補が提示されるので、相手を選んで信頼ゲームをおこなう。
まず、実験1の返報割合だが50%シェアするGiver(寛大Giver)と20%シェアするGiver(ケチGiver)の間に差がある(あたりまえだ)。ケチGiverのなかではリッチ組のほうが返報をより多く受け取っている。実験2の5段階評価ではその傾向はより強まって寛大Giver内でもケチGiver内でもリッチ組のほうが高い評価を受けている。さらにはInvestorから投資を受けるGiverもリッチ組のほうが高い(倍くらいある)。
ということで、もちろん寛大・ケチの差は互恵的ふるまいに影響を及ぼすんだけど、資源が多い人を選ぶという傾向も同時に観察できる。これは不公平の拡大をどんどん拡大するプロセスを説明しているんじゃないの。
なるほどおもしろい論文だった。けど細かいセッティングでなんか冗長だったりしないのかな。たとえばGiverは実際に存在させなくても実験者が用意できちゃうしそのほうが条件をコントロールしやすそう。デセプションを避けるのが目的なのかな。ふむ、なんか自分のネタもいけそうな気がしてきた。
読書感想文
論文をダウンロードして満足する不治の病
2020年1月11日土曜日
2019年12月31日火曜日
独裁者ゲームの行動をちょっとした操作で劇的に変えて見せましょう
今年中に仕上がってるはずの原稿達が綺麗に真っ白でそのまんま2020年に持ち越しとなること確定。ひやー。
収奪型の社会的ジレンマ実験て案外ないじゃん、俺たちオリジナル!と思ってたら見事ありました。
List, J. A. (2007). On the Interpretation of Giving in Dictator Games. Journal of Political Economy, 115(3), 482–493.
ホモ・エコノミクスなんて幻想だって研究は山ほど山盛りたくさんあるでよ。人は合理的でない利他行動をとるもんだ。そうした行動の研究モデルのひとつとして独裁者ゲーム(DG)は、まあいっぱいあるよね。うむ。
けど、普通の独裁者ゲームではポジティブな分配だけが要求されてるので分配が個人の選好なのか状況による影響なのかを分別できないじゃんか。たとえば独裁者ゲームで負の分配(相手から奪う)を導入すると結果が決定的に変わるというのも知られているよ。
ということで奪うことも可能なDGのいけてる先行研究Bardsley (2005)をベースに実験をデザインする。主な変更点は、資源の獲得にタスク実施の効果を導入することと、奪える額も操作したことだ。
コントロール群:普通のDG。両者にまずは5$を与える。そんで追加の5$を分配者に与えて分配額を聞く。
Take1$群:両者にまずは5$を与える。そんで追加の5$を分配者に与えて分配額を聞く。なお分配者は-1$~5$を選べる。つまり被分配者から奪うことも可能。
Take5$群:両者にまずは5$を与える。そんで追加の5$を分配者に与えて分配額を聞く。なお分配者は-5$~5$を選べる。つまり被分配者から奪うことも可能。
Earning群:Take5$群と同じセッティングなのだけど、両者元手を得るために30分の作業が課されてその報酬として元手が渡される。
結果いくどー。
コントロール群では0と2.5(半額)にピークがある。最頻値は0、次いで2.5。しかーし、Take1$にするとポジティブな割合はガクッと減って0の割合が増加する。次いで多いのが1$奪うやつら。さらにTake5$にすると、ほとんど誰もポジティブな分配をせずに大半が奪うことにしてる。最頻値は5$奪う。次いでニュートラル。しかーし、元手をタスクによって得るEarning群では、なんと、ほとんどの人がニュートラル(奪いもしなければ与えもしない)になる。
たくさんある実験結果はDGで人々が他者に寄付する社会的選好を持ってるといっているけど、実験室の外ではそんなにみな利他的には振舞ってないでしょう。参加者がとれる行動のセットを操作することで、お見せした通り結果がすごく変化するでしょ。結局"moral cost function"は簡単な操作で大きく変化する。つまりこれまで独裁者ゲームで得てきた知見は修正しなきゃダメだよ。さらに元手資金を稼ぐ方法と交差させると、"moral cost"がグンと増えることもわかった。
者ども、実験の際にはこうした点の考慮を努々忘れる出ないぞ。
なるほどねー、なかなか面白かったしほぼヒストグラム一発で見せる技は今やってる別の論文に使えそうだ。まあイントロもディスカッションもまだ出来てないんだけど。
収奪型の社会的ジレンマ実験て案外ないじゃん、俺たちオリジナル!と思ってたら見事ありました。
List, J. A. (2007). On the Interpretation of Giving in Dictator Games. Journal of Political Economy, 115(3), 482–493.
ホモ・エコノミクスなんて幻想だって研究は山ほど山盛りたくさんあるでよ。人は合理的でない利他行動をとるもんだ。そうした行動の研究モデルのひとつとして独裁者ゲーム(DG)は、まあいっぱいあるよね。うむ。
けど、普通の独裁者ゲームではポジティブな分配だけが要求されてるので分配が個人の選好なのか状況による影響なのかを分別できないじゃんか。たとえば独裁者ゲームで負の分配(相手から奪う)を導入すると結果が決定的に変わるというのも知られているよ。
ということで奪うことも可能なDGのいけてる先行研究Bardsley (2005)をベースに実験をデザインする。主な変更点は、資源の獲得にタスク実施の効果を導入することと、奪える額も操作したことだ。
コントロール群:普通のDG。両者にまずは5$を与える。そんで追加の5$を分配者に与えて分配額を聞く。
Take1$群:両者にまずは5$を与える。そんで追加の5$を分配者に与えて分配額を聞く。なお分配者は-1$~5$を選べる。つまり被分配者から奪うことも可能。
Take5$群:両者にまずは5$を与える。そんで追加の5$を分配者に与えて分配額を聞く。なお分配者は-5$~5$を選べる。つまり被分配者から奪うことも可能。
Earning群:Take5$群と同じセッティングなのだけど、両者元手を得るために30分の作業が課されてその報酬として元手が渡される。
結果いくどー。
コントロール群では0と2.5(半額)にピークがある。最頻値は0、次いで2.5。しかーし、Take1$にするとポジティブな割合はガクッと減って0の割合が増加する。次いで多いのが1$奪うやつら。さらにTake5$にすると、ほとんど誰もポジティブな分配をせずに大半が奪うことにしてる。最頻値は5$奪う。次いでニュートラル。しかーし、元手をタスクによって得るEarning群では、なんと、ほとんどの人がニュートラル(奪いもしなければ与えもしない)になる。
たくさんある実験結果はDGで人々が他者に寄付する社会的選好を持ってるといっているけど、実験室の外ではそんなにみな利他的には振舞ってないでしょう。参加者がとれる行動のセットを操作することで、お見せした通り結果がすごく変化するでしょ。結局"moral cost function"は簡単な操作で大きく変化する。つまりこれまで独裁者ゲームで得てきた知見は修正しなきゃダメだよ。さらに元手資金を稼ぐ方法と交差させると、"moral cost"がグンと増えることもわかった。
者ども、実験の際にはこうした点の考慮を努々忘れる出ないぞ。
なるほどねー、なかなか面白かったしほぼヒストグラム一発で見せる技は今やってる別の論文に使えそうだ。まあイントロもディスカッションもまだ出来てないんだけど。
2019年12月27日金曜日
年の瀬Pay it forward実験フェア パート3
去年の年末も締切近づくのになんもしてないしなんも思いつかないで尻がチリチリしてたようだ。そして今年もだ。やれやれ。
Gray, K., Ward, A. F., & Norton, M. I. (2014). Paying it forward: Generalized reciprocity and the limits of generosity. Journal of Experimental Psychology: General, 143(1), 247–254.
Pay it forwardは古くから偉い人が色んなところで素敵だっていってる。そうベンジャミン・フランクリンだってラルフ ウォルド エマーソン(だれ?)だって。そして心理学者だって(Bartlett & DeSteno,2006)、進化生物学者だって(Bshary & Grutter,2006)、ゲーム理論家だって(Nowak & Sigmund,2005)。そして圧倒的にポジティブな枠組みで研究されている。ていうかそもそも簡単に裏切りに侵入されちゃう概念だから遺伝的に近いとか閉じたグループとかが想定されてる。ということでまずは匿名状況でもpay it forwardがあるのかを検証するぞ。そんでさらには、どんな行動がpay it forwardされるのか(つまりは、良い連鎖・悪い連鎖どっちもあるのか)を検証する。具体的には独裁者ゲームをベースにした実験を5個おこないますよ。分配される資源が「不公平」「公平」「寛大」の3タイプ用意する。
さあ実験祭りを堪能するがよい。
実験1:お金のPay it forward
街中でリクルートした100人(まじっすか、がんばりますな)が対象。コントロール群は、独裁者ゲームの分配者側になるだけ。トリートメントは3タイプ。それぞれ最初にDGのレシーバーになって6$の資源を匿名分配者から受け取る。額は、0,3,6。そんで次に分配者になって匿名の次の人に分配する。さあいくら分配するのよ?
結果、きれいですよ。不公平 < コントロール群 < 平等 = 寛大
不公平分配されたらそれが伝播しますね。
実験2:手持ち資金をコントロール
ほとんど実験1と一緒なんだけど、最初にくじを引いてラッキーなら6$プレゼント、アンラッキーならプレゼントなし。その後、実験1と同様にまずはレシーバーになって不公平(=0$)か寛大(=6$)な分配を受ける。そして最後に次の人へ分配額を決定。
ラッキー・アンラッキーコンディションの主効果なし、分配される額の主効果あり、交互作用なし。
実験3:労働のPay it forward
今度はAMTを使います。経済ゲームじゃなくてタスクを課す。タスクを2種類用意します。GoodなタスクとBadなタスクだ。前者は面白動画の評価、後者は外国語の文章を読んで母音をチェックする。参加者は、Good2つ+Bad2つの計4タスクのうち2つをこなして次の人に残りを渡すことになる。さらに前の参加者から渡されたタスクもやらなくてはいけない。コントロールするのは、前の参加者から渡されるタスクの割合。4つのうち4つともBadという不公平、2つのGood・2つのBadという公平、4つともGoodという寛大の3つ。
さあ人々よ働きたまえ。
不公平分配のときだけ有意にGoodタスクを残すことが少ない。それ以外は差がない。
実験4a:
今度は感情測定をやる。方法は実験3と同様のタスク分割だ。不公平、公平、寛大のタスク分配を受けた後に、ポジティブ・ネガティブ・怒りの感情測定を行う。感情はちゃんと操作ごとに順当なほうに動いている。続いてGoodタスクを残す数を感情で説明する回帰分析をやる。ネガティブ感情だけが予測する、ポジと怒りは効果なし。ただし寛大な分配のときにはポジティブだけが有意。
実験4b:感情を事後操作するのは有効か
ネガティブ感情がpay it forwardに効くのであれば、この感情をフィルターすることで負のpay it forwardを減らせるのではなかろうか。ということで、タスク(不公平・寛大の2タイプ)を受け取った後に感情操作の文章(ニュートラル・ポジティブの2タイプ)を読んでから次の人にタスク分配をする。受け取るタスクの種類の主効果は有意、フィルターの主効果はなし、交互作用あり。不公平タスクを受け取った群で、フィルターによってGoodタスクを残す量が「ポジティブ操作>ニュートラル」となる。
4a,4bから考えるにネガティブ感情によって罰送り的なものが生じており、しかし感情の改善操作によって罰送りを軽減できる。
ということでアップストリーム互恵の実験は独裁者ゲームでやられてることが多いようだ。自分たちの実験設定は少し凝りすぎてる気がしてきたなあ。
Gray, K., Ward, A. F., & Norton, M. I. (2014). Paying it forward: Generalized reciprocity and the limits of generosity. Journal of Experimental Psychology: General, 143(1), 247–254.
Pay it forwardは古くから偉い人が色んなところで素敵だっていってる。そうベンジャミン・フランクリンだってラルフ ウォルド エマーソン(だれ?)だって。そして心理学者だって(Bartlett & DeSteno,2006)、進化生物学者だって(Bshary & Grutter,2006)、ゲーム理論家だって(Nowak & Sigmund,2005)。そして圧倒的にポジティブな枠組みで研究されている。ていうかそもそも簡単に裏切りに侵入されちゃう概念だから遺伝的に近いとか閉じたグループとかが想定されてる。ということでまずは匿名状況でもpay it forwardがあるのかを検証するぞ。そんでさらには、どんな行動がpay it forwardされるのか(つまりは、良い連鎖・悪い連鎖どっちもあるのか)を検証する。具体的には独裁者ゲームをベースにした実験を5個おこないますよ。分配される資源が「不公平」「公平」「寛大」の3タイプ用意する。
さあ実験祭りを堪能するがよい。
実験1:お金のPay it forward
街中でリクルートした100人(まじっすか、がんばりますな)が対象。コントロール群は、独裁者ゲームの分配者側になるだけ。トリートメントは3タイプ。それぞれ最初にDGのレシーバーになって6$の資源を匿名分配者から受け取る。額は、0,3,6。そんで次に分配者になって匿名の次の人に分配する。さあいくら分配するのよ?
結果、きれいですよ。不公平 < コントロール群 < 平等 = 寛大
不公平分配されたらそれが伝播しますね。
実験2:手持ち資金をコントロール
ほとんど実験1と一緒なんだけど、最初にくじを引いてラッキーなら6$プレゼント、アンラッキーならプレゼントなし。その後、実験1と同様にまずはレシーバーになって不公平(=0$)か寛大(=6$)な分配を受ける。そして最後に次の人へ分配額を決定。
ラッキー・アンラッキーコンディションの主効果なし、分配される額の主効果あり、交互作用なし。
実験3:労働のPay it forward
今度はAMTを使います。経済ゲームじゃなくてタスクを課す。タスクを2種類用意します。GoodなタスクとBadなタスクだ。前者は面白動画の評価、後者は外国語の文章を読んで母音をチェックする。参加者は、Good2つ+Bad2つの計4タスクのうち2つをこなして次の人に残りを渡すことになる。さらに前の参加者から渡されたタスクもやらなくてはいけない。コントロールするのは、前の参加者から渡されるタスクの割合。4つのうち4つともBadという不公平、2つのGood・2つのBadという公平、4つともGoodという寛大の3つ。
さあ人々よ働きたまえ。
不公平分配のときだけ有意にGoodタスクを残すことが少ない。それ以外は差がない。
実験4a:
今度は感情測定をやる。方法は実験3と同様のタスク分割だ。不公平、公平、寛大のタスク分配を受けた後に、ポジティブ・ネガティブ・怒りの感情測定を行う。感情はちゃんと操作ごとに順当なほうに動いている。続いてGoodタスクを残す数を感情で説明する回帰分析をやる。ネガティブ感情だけが予測する、ポジと怒りは効果なし。ただし寛大な分配のときにはポジティブだけが有意。
実験4b:感情を事後操作するのは有効か
ネガティブ感情がpay it forwardに効くのであれば、この感情をフィルターすることで負のpay it forwardを減らせるのではなかろうか。ということで、タスク(不公平・寛大の2タイプ)を受け取った後に感情操作の文章(ニュートラル・ポジティブの2タイプ)を読んでから次の人にタスク分配をする。受け取るタスクの種類の主効果は有意、フィルターの主効果はなし、交互作用あり。不公平タスクを受け取った群で、フィルターによってGoodタスクを残す量が「ポジティブ操作>ニュートラル」となる。
4a,4bから考えるにネガティブ感情によって罰送り的なものが生じており、しかし感情の改善操作によって罰送りを軽減できる。
ということでアップストリーム互恵の実験は独裁者ゲームでやられてることが多いようだ。自分たちの実験設定は少し凝りすぎてる気がしてきたなあ。
2019年12月22日日曜日
アップストリーム型3人独裁者ゲームやっちゃうよ
見事なまでにやる気がでない。あっぱれだ。日々着実に論文を進められる人が羨ましい。いるんだ身近にそういう出木杉君みたいなやつが(妬み)。爪の垢、は飲みたくないので代わりにやってくれまいか。
そして実験やってから関連論文を探すという泥縄大作戦。
Bahr, G., & Requate, T. (2014). Reciprocity and giving in a consecutive three-person dictator game with social interaction. German Economic Review, 15(3), 374–392.
協力の進化で直接互恵は良くある代表例だけどお返しできないことも良くあるはずだ。例えば誰かの献血のおかげで助かったとしてもその人は血を返すわけにはいかない。そういう場合、また別の誰かのために献血したりするよね。それを名付けて"pure indirect recirocity"という(がーん、ワーディングupstreamに統一されてないんだ)。
この研究ではpure indirect reciprocityに着目する。そのために独裁者ゲームを改良した3人独裁者ゲームをやるよ。具体的には順にA,B,Cと並ぶ。まず面白い結果として、3人独裁者ゲームと通常の2人独裁者ゲームを比較すると3人版のAさんはより多くの資金をBさんに渡している。それと、今回主に着目するのはsocial interactionで、AとBの間にゲーム前にインタラクションを用意するという効果だ。インタラクションとしては顔を合わせないようにしてスクラブルゲームをやらせる。それにAの額がランダムになるか自分の意思かというランダム条件も比較対象とする。するとinteractionトリートメントでより多く渡してる(まあそりゃそうだろうよ)。
実験設定:A→B→Cの独裁者ゲームをおこなう。A・B間で最初に(顔は合わせずに)別のゲーム(スクラブル)をやるinteraction、Aの意思決定がサイコロもしくは自分の意思で決めるrandom、普通にDGを連続でやるbaselineの3つ。比較のため通常の2名DGもやる。
Aの行動:interactionによって渡す額は増加する。それ以外のトリートメントの効果なし。性差と収入も影響してる(いやぁ、これどうだろうか)。
Bの行動:interactionによっては増加しなかった。むしろAからいくら渡されたかが強い決定要因。そして期待して多額より受取額が大きいとそれをキープする方向に働いて渡す額が減る。ランダム条件でもbaselineより減る。
細かいところを読み飛ばしてるけど、なんかあんまり一貫したロジックが見えないような。まあいいや。似たこと考える人は多い、と。
そして実験やってから関連論文を探すという泥縄大作戦。
Bahr, G., & Requate, T. (2014). Reciprocity and giving in a consecutive three-person dictator game with social interaction. German Economic Review, 15(3), 374–392.
協力の進化で直接互恵は良くある代表例だけどお返しできないことも良くあるはずだ。例えば誰かの献血のおかげで助かったとしてもその人は血を返すわけにはいかない。そういう場合、また別の誰かのために献血したりするよね。それを名付けて"pure indirect recirocity"という(がーん、ワーディングupstreamに統一されてないんだ)。
この研究ではpure indirect reciprocityに着目する。そのために独裁者ゲームを改良した3人独裁者ゲームをやるよ。具体的には順にA,B,Cと並ぶ。まず面白い結果として、3人独裁者ゲームと通常の2人独裁者ゲームを比較すると3人版のAさんはより多くの資金をBさんに渡している。それと、今回主に着目するのはsocial interactionで、AとBの間にゲーム前にインタラクションを用意するという効果だ。インタラクションとしては顔を合わせないようにしてスクラブルゲームをやらせる。それにAの額がランダムになるか自分の意思かというランダム条件も比較対象とする。するとinteractionトリートメントでより多く渡してる(まあそりゃそうだろうよ)。
実験設定:A→B→Cの独裁者ゲームをおこなう。A・B間で最初に(顔は合わせずに)別のゲーム(スクラブル)をやるinteraction、Aの意思決定がサイコロもしくは自分の意思で決めるrandom、普通にDGを連続でやるbaselineの3つ。比較のため通常の2名DGもやる。
Aの行動:interactionによって渡す額は増加する。それ以外のトリートメントの効果なし。性差と収入も影響してる(いやぁ、これどうだろうか)。
Bの行動:interactionによっては増加しなかった。むしろAからいくら渡されたかが強い決定要因。そして期待して多額より受取額が大きいとそれをキープする方向に働いて渡す額が減る。ランダム条件でもbaselineより減る。
細かいところを読み飛ばしてるけど、なんかあんまり一貫したロジックが見えないような。まあいいや。似たこと考える人は多い、と。
2019年12月21日土曜日
感情を表出することで第三者への負の互恵性を減らせるよ
恐怖。論文がひとつも完成しないまま年を越しそう。グリューワインが悪いんだ。
負の互恵性の連鎖の実験。あれ今似たことやってるんだけどすでに3年前に決着してたりする?
Strang, S., Grote, X., Kuss, K., Park, S. Q., & Weber, B. (2016). Generalized Negative Reciprocity in the Dictator Game ? How to Interrupt the Chain of Unfairness. Scientific Reports, 6(1), 22316.
やられたらやり返すは負の互恵性として知られているけど、他の第三者へ行為が波及する「一般的負の互恵性」もあるでよ。もしネガティブな感情が一般的負の互恵性の根底にあるなら、感情を効果的に調整すればこれを減らせるかかもよ。実際、感情を表明する機会を与えられた場合最後通牒ゲームでの拒否率が下がるっていう結果もある。けど先行研究では感情を明示的に測ってないし、感情が変化したかどうかもわかってない。
ということで疑問点は1)感情を表明するメッセージを出すことは感情の調整に有効なのか、2)効果的な感情表出は一般的負の互恵性を減らすのか、の2点だ。
実験1:感情表出の効果を測るでよ。まずはスタート時点の感情測定をします。そんで独裁者ゲームの受け手になる。測定対象は不公平分配をされた人たち。ちなみに参加者は女性のみ。なんとなれば、女性のほうが負の刺激に対して感情反応があるから(by先行研究)(ツイッタなら炎上必死のコントロールだな)。
実験操作は、不公平分配をされた後に4群にわけてる。それぞれ、何もしない、感情中立的な絵を描く、メッセージ書く(相手にわたらないと教示)、メッセージ書く(相手に伝えると教示)。さあ操作後の感情を測って変化を従属にした分散分析レッツゴー。主効果OK!コントロール群と相手に伝わるメッセージの間に有意差あり。それ以外の下位検定では差がない。メッセージ表出で感情の調整に成功したといえるでしょう。
実験2:ではこの操作で第三者への負の互恵性行動に影響を与えるのか。レッツトライ。操作は実験1で差が明確だったコントロール群(何もしない)と、相手に伝わるメッセージを書くの2通りでいきます。その後、実験1に加えて、その後別の第三者相手に独裁者ゲームの分配側をやらせます。
見事、メッセージ群で分配額が増えました。ということで感情を表出することで負の互恵性の連鎖を軽減できるよ。
なるほどねー。
負の互恵性の連鎖の実験。あれ今似たことやってるんだけどすでに3年前に決着してたりする?
Strang, S., Grote, X., Kuss, K., Park, S. Q., & Weber, B. (2016). Generalized Negative Reciprocity in the Dictator Game ? How to Interrupt the Chain of Unfairness. Scientific Reports, 6(1), 22316.
やられたらやり返すは負の互恵性として知られているけど、他の第三者へ行為が波及する「一般的負の互恵性」もあるでよ。もしネガティブな感情が一般的負の互恵性の根底にあるなら、感情を効果的に調整すればこれを減らせるかかもよ。実際、感情を表明する機会を与えられた場合最後通牒ゲームでの拒否率が下がるっていう結果もある。けど先行研究では感情を明示的に測ってないし、感情が変化したかどうかもわかってない。
ということで疑問点は1)感情を表明するメッセージを出すことは感情の調整に有効なのか、2)効果的な感情表出は一般的負の互恵性を減らすのか、の2点だ。
実験1:感情表出の効果を測るでよ。まずはスタート時点の感情測定をします。そんで独裁者ゲームの受け手になる。測定対象は不公平分配をされた人たち。ちなみに参加者は女性のみ。なんとなれば、女性のほうが負の刺激に対して感情反応があるから(by先行研究)(ツイッタなら炎上必死のコントロールだな)。
実験操作は、不公平分配をされた後に4群にわけてる。それぞれ、何もしない、感情中立的な絵を描く、メッセージ書く(相手にわたらないと教示)、メッセージ書く(相手に伝えると教示)。さあ操作後の感情を測って変化を従属にした分散分析レッツゴー。主効果OK!コントロール群と相手に伝わるメッセージの間に有意差あり。それ以外の下位検定では差がない。メッセージ表出で感情の調整に成功したといえるでしょう。
実験2:ではこの操作で第三者への負の互恵性行動に影響を与えるのか。レッツトライ。操作は実験1で差が明確だったコントロール群(何もしない)と、相手に伝わるメッセージを書くの2通りでいきます。その後、実験1に加えて、その後別の第三者相手に独裁者ゲームの分配側をやらせます。
見事、メッセージ群で分配額が増えました。ということで感情を表出することで負の互恵性の連鎖を軽減できるよ。
なるほどねー。
2019年12月7日土曜日
Exploring the effects of working for endowments on behaviour in standard economic games
ブログなんてありましたっけ、知りませんなあという態度で2年が経とうとしている。
公共財ゲームでインセンティブの与え方とかを実験しようとしているので関係しそうな論文を読む。またの名を現実逃避。
Harrison, F., & El Mouden, C. (2011). Exploring the effects of working for endowments on behaviour in standard economic games. PLoS ONE, 6(11), 1-6.
協力の進化の経済実験は実験実施者から元手を渡されるけど、実際には資金を得るのにもコストかかるしそれは行動にも影響を与えるでしょう。ということで被験者が資金を得るのにコストがかかる状態(退屈なタスクと物理的なタスク)で、公共財(PGG)と独裁者(DG)ゲームをやるよ。独裁者ゲームでは労働の効果は出なかったけど、公共財ゲームでは退屈なタスクをやった組は協力率が減った。ただしゲーム理論を知らない人に限る(え、その縛りちょっと不自然じゃ・・・)。
協力の進化研究では経済実験は超メジャー、いろいろやられてるよ。実験室実験の結果は実際の行動の傾向と良く相関するという議論もたくさんあるけど、実際の行動を予測しないという研究もある(こっちは1つだけ引用されてる)。実験の結果も一貫してない。
というわけで2つのタイプの労働を課す実験で協力行動が異なるか調べます。
M:コントロール(普通に資金提供)
T1:ピペット作業
T2:スクワット
DG:ワンショットで分配したぶんはUKチャリティに行く。被験者が提供される額を5通りやる。
PGG:5ラウンドの繰返しありPGGをやる。第3ラウンドだけ条件をコントロール。それ以外のラウンドは普通に資金提供される。
結果いきます。DGでは条件間の差は見られない。微妙に提供される額と寄付額に負の相関。小さい額だと投げ銭的になったんじゃなかろうか。PGGでは全体的にラウンド経過とともに投資額は減る。これはみんな知ってる結果と一貫してる。1,2ラウンドで条件間の差なし。
さてメインディッシュ、3ラウンドの結果いきましょう。メインエフェクト効果なし!(切ない)。しかし、「ゲーム理論を知ってるか」とコンディションの交互作用は有意でした、どーん。
我々の結果は、標準的な協力ゲームの利用を損なうものではない。我々はこれらのゲームが人間の行動をより一般的に説明する力がある証拠を見つけてはいない。でも、でも、我々の結果はゲーム理論を知っている人とそうでない人の参加者プールで行動が異なることに注意する必要があることを示唆している。
しっかし、ゲーム理論知ってるかどうかなんてよく質問項目に入れてたな。というかこれくらいしか有意にならなくて泣きそうになる気持ちは良くわかる。"our results do suggest that we should be aware that"という苦しい書き方は涙なしには読めません。
でもこれもPLoS oneだ。心を強く持って頑張って論文を書こう。
公共財ゲームでインセンティブの与え方とかを実験しようとしているので関係しそうな論文を読む。またの名を現実逃避。
Harrison, F., & El Mouden, C. (2011). Exploring the effects of working for endowments on behaviour in standard economic games. PLoS ONE, 6(11), 1-6.
協力の進化の経済実験は実験実施者から元手を渡されるけど、実際には資金を得るのにもコストかかるしそれは行動にも影響を与えるでしょう。ということで被験者が資金を得るのにコストがかかる状態(退屈なタスクと物理的なタスク)で、公共財(PGG)と独裁者(DG)ゲームをやるよ。独裁者ゲームでは労働の効果は出なかったけど、公共財ゲームでは退屈なタスクをやった組は協力率が減った。ただしゲーム理論を知らない人に限る(え、その縛りちょっと不自然じゃ・・・)。
協力の進化研究では経済実験は超メジャー、いろいろやられてるよ。実験室実験の結果は実際の行動の傾向と良く相関するという議論もたくさんあるけど、実際の行動を予測しないという研究もある(こっちは1つだけ引用されてる)。実験の結果も一貫してない。
というわけで2つのタイプの労働を課す実験で協力行動が異なるか調べます。
M:コントロール(普通に資金提供)
T1:ピペット作業
T2:スクワット
DG:ワンショットで分配したぶんはUKチャリティに行く。被験者が提供される額を5通りやる。
PGG:5ラウンドの繰返しありPGGをやる。第3ラウンドだけ条件をコントロール。それ以外のラウンドは普通に資金提供される。
結果いきます。DGでは条件間の差は見られない。微妙に提供される額と寄付額に負の相関。小さい額だと投げ銭的になったんじゃなかろうか。PGGでは全体的にラウンド経過とともに投資額は減る。これはみんな知ってる結果と一貫してる。1,2ラウンドで条件間の差なし。
さてメインディッシュ、3ラウンドの結果いきましょう。メインエフェクト効果なし!(切ない)。しかし、「ゲーム理論を知ってるか」とコンディションの交互作用は有意でした、どーん。
我々の結果は、標準的な協力ゲームの利用を損なうものではない。我々はこれらのゲームが人間の行動をより一般的に説明する力がある証拠を見つけてはいない。でも、でも、我々の結果はゲーム理論を知っている人とそうでない人の参加者プールで行動が異なることに注意する必要があることを示唆している。
しっかし、ゲーム理論知ってるかどうかなんてよく質問項目に入れてたな。というかこれくらいしか有意にならなくて泣きそうになる気持ちは良くわかる。"our results do suggest that we should be aware that"という苦しい書き方は涙なしには読めません。
でもこれもPLoS oneだ。心を強く持って頑張って論文を書こう。
2018年3月15日木曜日
日常生活における第三者を介した資源の衡平性回復行動
祭りじゃ祭りじゃ現実逃避祭りじゃ。沖縄にいるあいだに絶対完成させなくちゃいけないのに。。。
Upstream祭り2018その2。中島・吉田(2009)と同じ著者の1年前の論文。2009年は経済実験でやってるけどこちらは日常生活のシナリオ実験。
中島誠 & 吉田俊和. 日常生活における第三者を介した資源の衡平性回復行動. 社会心理学研究 24, 98-107 (2008).
イントロはざっくりと。衡平理論(人が関係の中で利得の帳尻を合わせて自分の資源を一定に保とうとする)は負の方向(搾取されたら第三者からの搾取をおこないやすい)を強く予測するが、正の方向には起こりにくいと予想する(自己利益最大化になるので効果が弱い)。
でも実際には正の提供行動の連鎖は起こっている。多くは間接互恵などの枠組みで説明されているが衡平理論で説明したのは少ない(そりゃそうだ)。本研究ではこれにチャレンジする。さらにこれまでは金銭的な交換における衡平理論の検証が多かったけどここでは日常における非金銭的な交換について着目する。
仮説行きます。
1.不衡平(過小/過大)な分配をうけると怒り/罪悪感を感じ、続いての第三者への分配で過小/過大な分配をして衡平を回復する
2.過大な分配を受けた後では、金銭的な分配よりも援助的な分配のほうがおおくおこわなれる
3.第三者への衡平性回復は、直接返報の時よりも弱い
シナリオは場面想定で「店を出ようとしたら傘を誰かが持って行ってしまった。おっとそこに傘がある。持っていくか?(過小)」「店を出ようとしたら雨が降ってきて傘がない。すると誰かが傘二本あるからどうぞと貸してくれた。その後、誰かが雨宿りしてた。自分は二本持ってる。差し出すか?(過大)」(こ、これちゃんと目的に合致した操作になってるのか?特に自分が傘を持ってくの衡平性の回復になるのだろうか)。
金銭のほうは「同じ労働をして相手に分配権がある。そして相手が2000/3000で分配した(過小)、もしくは3000/2000で分配した(過大)。次にあなたに分配権がある。どのように分配するか?」(これは次の論文の実験で綺麗に経済実験に拡張されている)。
金額場面では仮説は基本的に支持されているが、傘場面では微妙。やっぱり傘場面は無理があるのではなかろうか。仮説2の二つの場面の比較もちょっと厳しそう。これは金銭と援助の差とは言えないような。
あと傘場面で、搾取されたほう(過小)が援助を受けた時(過大)より第三者への提供意図が高くなっている。なんで?と思ったけど搾取場面では、第三者へ提供するかどうかではなくて第三者の傘を搾取するかどうかを逆転して提供意図得点にしてるのか。だから搾取場面での提供意図が高いと(つまり搾取されても盗まないよということ)。いやー、うー。やっぱり無理がないかな。
金銭場面は次の実験とも綺麗につながってるけど日常生活場面の設定は無理があるような気がする。
そして、この時点では正当世界信念は使ってないのか。むしろ使ったら傘場面面白いかもしれないのに。
Upstream祭り2018その2。中島・吉田(2009)と同じ著者の1年前の論文。2009年は経済実験でやってるけどこちらは日常生活のシナリオ実験。
中島誠 & 吉田俊和. 日常生活における第三者を介した資源の衡平性回復行動. 社会心理学研究 24, 98-107 (2008).
イントロはざっくりと。衡平理論(人が関係の中で利得の帳尻を合わせて自分の資源を一定に保とうとする)は負の方向(搾取されたら第三者からの搾取をおこないやすい)を強く予測するが、正の方向には起こりにくいと予想する(自己利益最大化になるので効果が弱い)。
でも実際には正の提供行動の連鎖は起こっている。多くは間接互恵などの枠組みで説明されているが衡平理論で説明したのは少ない(そりゃそうだ)。本研究ではこれにチャレンジする。さらにこれまでは金銭的な交換における衡平理論の検証が多かったけどここでは日常における非金銭的な交換について着目する。
仮説行きます。
1.不衡平(過小/過大)な分配をうけると怒り/罪悪感を感じ、続いての第三者への分配で過小/過大な分配をして衡平を回復する
2.過大な分配を受けた後では、金銭的な分配よりも援助的な分配のほうがおおくおこわなれる
3.第三者への衡平性回復は、直接返報の時よりも弱い
シナリオは場面想定で「店を出ようとしたら傘を誰かが持って行ってしまった。おっとそこに傘がある。持っていくか?(過小)」「店を出ようとしたら雨が降ってきて傘がない。すると誰かが傘二本あるからどうぞと貸してくれた。その後、誰かが雨宿りしてた。自分は二本持ってる。差し出すか?(過大)」(こ、これちゃんと目的に合致した操作になってるのか?特に自分が傘を持ってくの衡平性の回復になるのだろうか)。
金銭のほうは「同じ労働をして相手に分配権がある。そして相手が2000/3000で分配した(過小)、もしくは3000/2000で分配した(過大)。次にあなたに分配権がある。どのように分配するか?」(これは次の論文の実験で綺麗に経済実験に拡張されている)。
金額場面では仮説は基本的に支持されているが、傘場面では微妙。やっぱり傘場面は無理があるのではなかろうか。仮説2の二つの場面の比較もちょっと厳しそう。これは金銭と援助の差とは言えないような。
あと傘場面で、搾取されたほう(過小)が援助を受けた時(過大)より第三者への提供意図が高くなっている。なんで?と思ったけど搾取場面では、第三者へ提供するかどうかではなくて第三者の傘を搾取するかどうかを逆転して提供意図得点にしてるのか。だから搾取場面での提供意図が高いと(つまり搾取されても盗まないよということ)。いやー、うー。やっぱり無理がないかな。
金銭場面は次の実験とも綺麗につながってるけど日常生活場面の設定は無理があるような気がする。
そして、この時点では正当世界信念は使ってないのか。むしろ使ったら傘場面面白いかもしれないのに。
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