小野田(2013)の元論文。
埼玉大の紀要なんてこんなことがなければ目を通す可能性は無かったろう。
一期一会、とは違うけど読む。
高木英至. (1995). 集団中心主義というパズル. 埼玉大学紀要, 31(1), 17–40.
「引用:ではなぜ、集団中心主義はかくも頑健に社会の中で生き続けるのか?癒るあてのない水虫のように、時期が来ればわれわれの目の前に現れるのはなぜか?」
論文の中でこの表現。かっこよすぎる。
集団中心利他主義を説明できそうな理論は「社会的アイデンティティ」「類似性-魅力原則」「血縁選択・遺伝的類似性理論」などがあるけど、筆者は「Allisonの文化的進化論(文化的標識)」だ。
社会的アイデンティティ:自尊感情を満足させるためには、所属集団を外集団より優位に(好意的に)扱う必要がある。でも、態度レベルならまだしも利他行動まで説明できるのか?また適応的にこういう戦略が有利なことを説明できない。
類似性:類似性が対人魅力を高めるというByrn,1971の理論も、同様に適応的に有利かどうか言えない。
血縁選択:適応有利性としては説明力があるけど、社会の集団中心主義には遺伝的類似性では説明できないだろう。ただ、血縁的な利他性が「汎化」できるなら説明としてはいけるかも。
ということで、Allison(1992)の文化的進化論がいいと思う。
(a)ある標識を認識する
(b)同じ標識を持つ他者に利他的になる
しかし、(1)文化的標識を表示しながら義務を履行しない(フリーライダー)に無防備、(2)標識を必要としない利他戦略より有利と言えるのか?(3)相互に違う標識に寄付する(結託みたいな)規範も同等の利得を挙げるはず。けどそういう規範はほぼ見当たらない。
ということで、シミュレーションをやります。Givingゲームで記述できるでしょう。
気になってたマッチングはやはり、選別基準を満たす相手を抽出してからn人を選択して寄付している。やっぱり、この点ですな。ランダムマッチで、C/Dを選択しないと、結構当たり前の結果じゃないだろうか。ちがうのかな。
シミュレーションはほぼ小野田(2013)と同様。
内集団ループを持つ戦略が優位となる。
ただ、古い論文なので計算パワーの問題からか、設定はかなりミニマム。
というかそれを改善したのが小野田論文か。
紀要だからなのか、表現の豊かさ(自由っぷり)が印象的。
追加で検討しているモデルのセッティング名が「放蕩息子の勝利」「孝行息子の逆襲」だ。素敵すぎる。しかしそこに注目してどうする、自分。
マッチングが独特なのは気になるけど、対戦相手の選択可能性(選べるかどうか)をパラメータにした研究を2014春の数理社会で聞いたので、このあたりの組み合わせで新しいことできるかも。
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