2017年6月27日火曜日

Do sincere apologies need to be costly? Test of a costly signaling model of apology.

先日の学会で雑談中に出てきた謝罪研究の話題。適当な記憶でしゃべってしまったので確認のために読む。案の定若干記憶と異なる実験設定だった。あぶねえ。

Ohtsubo, Y. & Watanabe, E. Do sincere apologies need to be costly? Test of a costly signaling model of apology. Evol. Hum. Behav. 30, 114-123 (2009).

謝罪のコストリーシグナルについて分析する。謝罪を受ける側は謝罪することのコストについて敏感に観察しているはず。実験1,2でコスト有り謝罪と無し謝罪をシナリオ実験で検討する。実験3は修正版独裁者ゲーム。架空のパートナーが不公平分配をしたのちに謝罪する。その時にメッセージを送ることにコストがかかることでコスト有り謝罪を再現する。

ザハビ先生のシグナリングセオリーはいけてるよ。人間の行動も結構説明がつく。特に謝罪というのはシグナルの信頼性が重要になるケースだ。騙そうとする表面的な謝罪を受け入れてしまうと搾取されるから。

Sender(S)とReciever(R)を考える。また協力的なScと搾取するSeも考えましょう。1ラウンドで協力的なやり取りをすればSもRもb_cを得る。しかし、Sの意図にかかわらずb_e(>b_c)をSは得ることができる。また確率wで繰り返しゲームをおこなう。またコストa(>=b_e)を払って謝罪をすることを考える。Scにとって、b_e <= a <= b_c・w/(1-w)ならScは謝罪コストを払っても関係を続けたいと思うはず。

ちょっと飛ばして実験へ。

実験1では謝罪における贈り物(補填)の効果をvignette experimentで検証。
実験2では謝罪において謝罪者の利得は減るけど、被謝罪者の利得は増えないというシナリオをvignette experimentで検証。
実験3では変形独裁者ゲーム。1000円のうち200円しかもらえなかったときに、Dictatorからメッセージを受け取る。その時のメッセージにかかるコスト(ただし参加者の利得は増えない)。

実験1:シナリオ実験です。友人に電子辞書を貸したんだけど返ってこないて宿題で不便だった。そのあと「謝罪」「謝罪+ランチおごり」を比較。
実験2:シナリオ実験。友達が金曜のバイトのシフトを勝手に参加者に代えていた。なぜなら友人は急遽実家に帰らなくてはいけないから。そのおかげで土曜の試験の準備ができなかった。友人は試験のことは忘れていた。コスト条件では友人はフライトの予定を変更して謝るために早く帰ってきた。コスト無条件では通常のスケジュールで戻った。
実験3:Dictatorゲームで参加者は200/1000という不公平分配をされる(ただしコンピュータによるランダムな選択)。その後Dictator側が自らの利得を500減らすというコストを払って謝罪メッセージを送るか(参加者の利得は増えず)、もしくはコスト無謝罪を受け取る。

1,2,3ともコスト有りが謝罪の誠実さを高く評価している。

この後にいくつかの検証実験もやっている(自分にだけコスト有り謝罪した場合とか)。結論としてはコストリーシグナルはとても有効だと。

(コスト,ベネフィット)について(0,0)<->(0,1)の比較と(0,0)<->(1,0)の比較をしているけど本当は(1,0)<->(0,1)を比較したいところだ。更には平面全体に拡張できたら面白そう。ただ比較可能な軸に乗せるのは大変そうか。

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