2014年9月13日土曜日

原発依存の是非をめぐる世論の動向

原発問題を題材とした沈黙の螺旋の論文が刊行されました。

Twitterにおける意見の多数派認知とパーソナルネットワークの同質性が発言に与える影響:原子力発電を争点としたTwitter上での沈黙の螺旋理論の検証

ものすごくお世話になった宮田先生との共同研究。まだまだ教わりたいことは山積みだった。これから良い研究をすることで恩返しするしかない。

原発と沈黙の螺旋ということで研究対象がまさに一致してるので読む。

今井亮佑. (2013). 原発依存の是非をめぐる世論の動向. In 原発政策を考える3つの視点-震災復興の政治経済学を求めて(3) (pp. 65-98). 早稲田大学出版部.

原発問題に関する沈黙の螺旋が調査方法の違いによって生じるかどうかを検証する。発言意図などを取るのではなく、ただシンプルに世論調査の回答自体にも沈黙の螺旋が生じるのではないかという発想。というのも、世論調査では「調査員が回答を入力する(CAPI)」と「自分で回答を入力する(CASI)」がある。CAPIでは回答そのものが公的な発言(にちかいもの)として捉えられる可能性があるので、社会的望ましさバイアスがかかるだろう。すると、それにひきずられて回答がずれるはず。つまりは、孤立への恐怖にかわって、社会的望ましさバイアスが沈黙の螺旋を引き起こす可能性がある。

そこで、原発反対が多数派という世論調査結果を示した群、原発維持が多数派という結果を示した群、コントロール群の3つでCASI/CAPIの世論調査をおこなう。CASI(自分で回答)では3群の間に差はないけれど、CAPIでは原発維持が多数派という結果を示した群において、原発維持という回答が有意に高い。また、高学歴ほど世論の動向を気にするという先行研究があるが、その通りに高学歴ほど現状維持が多数派と知らされたときに、現状維持を支持する率は高くなっている。

なるほど。調査員へ回答を伝えることは公的発言という捉えられ方なのか回答の匿名性が減少するのかどっちだろう。自分たちのデータでも匿名性を聞いておけばよかった。ヘタこいたー。それにしても、まだ分析してないデータも残ってるので早くやらないと。

0 件のコメント:

コメントを投稿